先日、知り合いの会社から開発に関する協力依頼がありました。
ありがたいことに、2件の相談をいただきました。
ただ、こちらも案件がたてこんでいるので、何れか1件だけお請けすることにしました。
会議当日は、両案件の概要を聞いて後日に一方を辞退しようと思い会議に望みました。

両方の案件について、それぞれPMから一通り概要をお聞きした結果…
その場で辞退する方の案件を即答しました。

辞退した方の案件ですが、
フェーズ的には、要件定義は完了しており設計のフェーズに入ろうとしているとのこと。
開発は短納期であり開発コストも多くないので、
詳細設計書を出すのでそれにしたがって実装だけ支援して欲しいとのこと。

ただ、お聞きした概要の範囲から想像すると、その期間だとかなり厳しい感じのシステムでした。
詳細仕様書の通りとは言われても、初めて一緒に仕事をする相手で阿吽の呼吸もできてません。

で、短納期でできる根拠を確認してみると、
例えば、
 ・その顧客とは付き合いが長く望まれているものが良くわかっている
 ・その業界に精通している
といった分析の手助けになる有利な状況を持っているとか、
 ・過去に類似開発を行っており再利用率可能なコードを保有している
 ・短納期開発の実績や体制面での根拠などが明確に説明できる
などの技術資産を持っているなど、
安心材料となる言葉を期待していたのですが…

得意な開発言語(環境)で構築すること以外に明確な根拠をお聞きできませんでした。

そして、要件整理した資料を拝見したのですが…
この時点で、辞退することで確定しました。

要件定義書でなく要件整理と断りが入っていましたが…
まぁ、言葉などどうでもいいことです。それよりも、中身を拝見すると、
 ・顧客の状況把握に関する記載が一切ない
 ・業務の流れが箇条書きで書かれているだけで深堀りされていない
 ・機能要件は、既存システムの機能項目を羅列している表があるだけ
  ⇒機能に対する目的や用途、問題や要望の有無などの記載が一切ない
 ・非機能要件につながるようなことは、なんの言及もない
という感じで、整理の際の分析が何もはいっていませんでした。

色々とお聞きしても、
ご本人の頭の中で深掘りできてる感じでも無かったです。
業界に精通していたわけでも無かったです。
また、開発効率面に関する技術資産もお持ちでは無い感じでした。

正直、このレベルから短期間に設計フェーズに移行できるのかがイメージできませんでした。
詳細仕様書の通りにと言われても、目的や背景も知らずにモノづくりなどできるとは思えません。
この方がおっしゃってる詳細設計って、どんな詳細設計書なんだろ?と疑問が出ます。

得意の言語や開発環境があると言えるのはいいことだと思います。
開発担当者であれば頼もしい存在だと思います。
しかし、ご自身にいくら高い開発力があったとしても、それだけだとPMとしては甚だ不安です。
ましてや、こっちのメンバーを預けるとなるとです。

ご自身の高い技術力など見せてくれなくとも良いです。
それよりも、深く掘り下げるだけの分析力を見せつけてくれる方が安心感が出ます。
あるいは、短納期開発が可能な根拠(個の技術力ではなく組織の技術力)の実績でも良いです。

ということで、炎上確率が高そうな案件だったのでその場で辞退しました。
(本当は、成功するかも知れません。が、知らない人なのでどうしてもこのような判断になります)
辞退理由としては、
『指定された言語はやったことないので、短納期では厳しいです。』
という理由で辞退しました。
ありきたりな理由です。
でも、この理由なら相手のPMを傷つけることもないですので。

しかし、面と向かっては言えないんですよね…
面と向かって言える相手なら、『要件の整理を手伝いますよ』ぐらいは言えたのですが…